昨日の記事 からのつづきでーす。
アタシ、自分の横でねんねしてる、蟻のダンナを目にした瞬間、
日本書紀の三輪山神婚異伝と、
土斑猫に化生した澤村数馬を、同時に思い浮かべました。
三輪山のお話は、姫の寝所に夜毎通ってきた大物主神の正体が、
小さな蛇 だったってゆーオチでしたけれど、
土斑猫の澤村数馬も、蛇神の大物主神とおんなじ、
婿入り婚型の異類婚姻譚ですものネ。
蟻も化身伝承をもってますし、異類婚とおんなじ状況が、
ノンフィクションで出現しちゃったんですものっ。
まぢで冥界から、何かが、おでましになったのですか?って、
一瞬、かんがえちゃいましたわよ。
不思議なコトに、その日を境に、
枕辺を探索してた働き蟻の編隊が、全く姿を見せなくなったんです。
一昨年の10月から約8ヶ月間、ずーっと通ってきてたのにっ。
でも、同衾したダンナとおんなじ個体らしき、一匹の蟻だけは、
それからも、アタシに近づいてきました。
ダンナの行動パターンは、
枕辺を探索するだけに過ぎなかった働き蟻の編隊とは、
一味も、二味も、違っていましたよ。
んっ? なんだ、このミョーな気配はっ?って思ったら、
アタシの左肩に乗って、いっしょに本読んでたり。
なんだか、くしゅぐったいぢょお~?って思ったら、
腹ばいになってるアタシの、左のフトモモをついばんでたり。
こんな生活、もーイヤですうっ!って考えて、
思い切って殺生しちゃった翌日も、蟻のダンナは、アタシの前へ姿を現しました。
これ、なんかの
呪 ですか?
あなおそろしや、よみがへる蟲男のキョーフ。
物狂ほしき怪に魅入られたる、姫の運命や如何に。
河内の国更荒の群馬甘の里に、富める家ありき。
家に女子ありき。
大炊の天皇のみ世の、天平宝字の三年の己亥の夏の四月に、
その女子、桑に登りて葉を揃きき。
時に大きなる蛇あり。
登れる女の桑に纏りて登る。
路を往く人、見て嬢に示す。
嬢見て驚き落つ。
蛇もまた副ひ堕ち、纏して婚し、慌れ迷ひて臥しつ。
それ、神識は、業の因縁に従ふ。
あるいは蛇・馬・牛・犬・鳥等に生る。
先での悪しき契によりては、蛇となりて愛婚す。
あるいは怪しい畜生となる。
愛欲は一つにあらず。
新潮日本古典集成【日本霊異記】より抜粋にて引用
モチロン、アタシが潰しちゃった蟻とは、別の個体なんでしょうけど、
そうするのがトーゼンとでも言うがごとく、
このアタシめがけて、蟻のダンナは、またやってきたんです。
夜になったら、おフトンへ上がってきて、いっしょにねんねするんですうっ。
一つの個体が滅び去っても、
別の個体に、通い婚が引き継がれちゃうんですから、
アタシのダンナ、澤村数馬より手強い ですっ。
また恐ろしいコトにアタシ、だんだんその状況に、慣れてきちゃいまして。
通い婚の非日常に身を投じたコトで、イデアが到来しちゃったワケぢゃないですよ。
一匹だけ、おフトンに上がってくるのは、どーしてなんだろー?
ほかの働き蟻が来なくなったのは、なじぇなんだろー?
ダンナみたいな蟻の観察例って、他にも報告されてるのかなー?
ってな、自然科学の視点から、ダンナを見守ってたんです。
そんなこんなで、働き蟻の編隊をはぢめて見た頃から数えて、
そろそろ一年が経過しようとゆー、昨年の9月30日。
蟻に見初められし嬢・桃花すぅわんが、
通い婚の真相を知る日が、遂にやってまいりました。
ぢつわアタシ、ダンナが通ってくるようになってからこっち、
ヒンパンに悪夢を見るようになってたんですけど、
その日も朝から、ヤな夢見ちゃいまして。
気分が優れないまま、
おフトンからズルズル這い出したアタシのカラダにくっついて、
ダンナも、いっしょに起きてきたんです。
トイレに行った後、
東向きの出窓の前へ座って、ぼへーっとしてましたら、
ダンナが、アタシのカラダの表面を、あっちこっち徘徊しはぢめましてね。
うう、くしゅぐったいよぉーって、思ってるウチに、
右下腕に留まったまま、ダンナが、急に動かなくなったんです。
次の瞬間、アタシゃ、
このボンクラマナコを、
カッッ☆って見開きましたよ。
ダンナときたら、
アタシの汗腺から皮脂を吸い上げてたんですっ。
白くて、ぷくらっとしたカタチの半透明な皮脂を、
アタシの腕から吸い上げる度に、ダンナは、
びるびるっ☆ってケイレンして、数秒間動きを止めました。
今思えば、写真撮っときゃ良かったんですけど、
クロオオアリが、ヒトの皮脂を摂取するなんて、アタシゃ初耳です。
蟻のダンナは他でもない、
アタシの
カラダ目当てで、せっせと通ってたんですよ。
皮脂を吸い上げる度に、ケイレンして動かなくなるダンナは、
なんかの毒にでも当たって、失神しちゃってるみたいに見えました。
一瞬の
びるびるっ☆を求めて、皮脂を吸ってるみたいにも。
ひょっとしたら、アタシのカラダから、
蟻が好むようなフェロモンでも出てるんぢゃないかとは、
うっすらかんがえてたんですけどネ。
ヒトのカラダから、麻薬系の成分が出たりするモンなんでしょーか?
ともあれ、一年越しの通い婚の真相を、
こーゆーカタチで知っちゃったアタシ、こう思いましたですよ。
俺、安芸之助ぢゃなくって、
アブラムシだったんだ。
おしまい♡
MATERIAL by PINKUMACHAN NO HENTEKO SOZAI